≪Why Not Hand Over a "Shelter" to Hermit Crabs?≫は、やどかりに私のつくった「やど」を渡し、やどかりに背負ってもらう作品である。
White Chapel が副題である本シリーズでは、日本の「結婚式教会」ー結婚式をあげるためだけに作られた信者の居ない宗教施設ーが「やど」にのせられている。
結婚式教会の多くはゴシック様式、もしくは複数の建築様式を混雑させており、背面や側面は敷地におさまるように大胆に割愛され、街中にあまりにも唐突に存在している。この擬洋風の建物たちは、日本人のポストコロニアリズムのアイデンティティを映し出しているように思えてならない。宗教の様式さえ、その時々で交換可能なものとし、欧米を模倣することで近代化された都市。そこに借り住まいする私たちは、いったいどこへ向かっているのだろうか。