ウラサキミキオ
1965年 広島市生まれ
1989年 多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻卒業
1965年、広島市に生まれる。油画が好きで多摩美術大学に入学。大学では、組む、重ねることの効果に興味を持ち、始めはコラージュを、やがて流木や石膏を用いた立体作品を制作する。1989年、卒業。同年、田村画廊にて個展。学校を離れて5年ほど制作ができなくなる。どうやら自分は一つ所で、何かが象(かたち)に表れてくるのを永い時間かけて待つ人間らしいことに気付く。1997年より、ギャラリイKにて毎年個展。(1999年のみ、GalleryQS)作品は絵画。象(かたち)はなかなか表れないが、自分は具体的なものとの関わりを通してしか制作ができないということははっきりとしてきた。ものは魅力的で、人を引き付けてやまないが、ある距離以上には決して人を寄せ付けない。
影で象徴的に表わされるように、私達は目に見える形に迫ろうとそれに近づくのだが、ある所まで来ると形は消え去り、視線は撥ね返されてしまう。近づいては撥ね返される...そう、私達はこの動きの中でしか物の形を捉えられないのである。私が目指しているのは、物を写して、見る人がそうした動きを追体験できることである。私が紙を貼ったり絵の具を絞り出したりしているのも、一見脈絡のない物同士が突然繋がりを持ち、ある象(かたち)が浮かび上がっては、また脈絡のない物同士の中に消えていくという効果を狙ってのことなのである。