室内に自然がそのまま入り込んできたような、葉と土。
本物の葉と土にしか見えないが、これらはすべて鉄で作られたもの。
製鉄は人類の技術的達成の中でも最も画期的なテクノロジーの革新のひとつであり、
あらゆる工業製品に用いられる鉄は、人工物の象徴とも言える。
自然ありのままの葉や土の姿をした鉄が、腐食し朽ちて土に還っていく様子は、
産業やテクノロジーと自然という対比で捉えがちなものが不可分であり、
同じ大きな循環の中に存在しているという当たり前のことを静かに見せてくれると同時に、
現代の豊かな生活の根幹にある経済活動が自然に与える影響から目を背けさせてはくれない。
誰しもが関係のある壮大なテーマに対して、真正面からド直球で取り組む覚悟が見えた。
何十年後か百年後か、この鉄の葉が朽ちて本物の土に還ったとき、
本当の意味でこの作品は完成するんだと思う。