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平良 優季 / Yuki Taira

※写真は参考作品です。出品作品とは異なる場合がございます。
※Photos are for reference only. Actual artworks on display may vary.

作家情報 / Artist Information

平良 優季

平良 優季

1989年 沖縄県生まれ
2017年 沖縄県立芸術大学芸術文化学研究科後期博士課程(日本画)修了
2015年 「第15回福知山市佐藤太清賞公募美術展」、佐藤太清記念美術館、京都
2016年 「第5回Artist Group -風-」、東京都美術館、東京
2016年 「第9回 菅楯彦大賞展」、倉吉博物館、鳥取県
2017年 「Arts in Bunkacho~トキメキが、爆発だ~」、文化庁、東京
2017年 「第7回トリエンナーレ豊橋 星野眞吾賞展」、豊橋市美術博物館、愛知

私は生まれ育った沖縄を拠点に、創作活動を行っています。県外での展示会にて出品を重ねていく中で、そこで自分自身の持つ色の独特さに気付かされました。現在は自身の色の感覚や世界観を引き出せるのは、沖縄、亜熱帯特有のモチーフではないかと感じ、動植物を中心に描いています。モチーフの形や色を用いたり重ね合わせることで、季節の移ろいや日の移り変わりなど、見えない感覚や温度をテーマに表現しています。

http://yuki-taira.pupu.jp

Yuki Taira 
 
1989 Born in Okinawa
2017 Doctor of Arts and Science(Japanese Painting), Okinawa Prefectural University of Art
2015 Sato Taisei Prize Art Exhibition, Sato Taisei Memorial Museum, Kyoto
2016 Group Show of Contemporary Artists 2016, Tokyo Metropolitan Art Museum
2016 9th Suga Tatehiko Award, Kurayoshi Museum, Tottori
2017 Arts in Bunkacho, Agency for Cultural Affairs, Tokyo
2017 Hoshino Shingo Prize, The Triennal Competition in Toyohashi, Seeking the Artists of Tomorrow, Toyohashi City Museum of Art and History, Aichi

 
I base my artistic activities in Okinawa, where I was born and raised. Having built up experiences of exhibiting my artwork in/outside of Okinawa, I was made to realize my own unique sense of color. At that time I considered my colors, senses, and worldview as brought out from the characteristic motifs of the Okinawan subtropics. As so, I mainly portray animals and plants. By incorporating and layering these shapes and colors of motifs, I express things such as the change of seasons and time of day, in order to evoke the invisibility of the senses or shift in temperatures.
 

推薦者 / Selector

土屋 誠一 / Seiichi Tsuchiya

美術批評家/沖縄県立芸術大学准教授

[推薦者コメント / Comment by Selector]

平良は、日本画界においては注目株の画家であり、さまざまな公募で受賞や入選を重ねている。基本的に極めて知的な作家であり、描写やコンポジションの技術も高く、そのような評価を受けるのは「当然」であると思う。この会場でのアートフェアには、恐らく似つかわしくないのであろうと思われるが、つまり彼女は、いわゆる「現代美術」の文脈で活動をしている画家では、少なくとも目下のところ、ない。しかし積極的にこの場で推薦しているのは、当然理由がある。私は絵画というジャンルの可能性は潰えていないと考えるものであるが、この極東の島国からインターナショナルなプレゼンスを発揮するためには、近代以降(そう、近代以降だ)、あまりにも捨て去ってきたものが多すぎる。日本画というジャンルが、近代化の要請において、ほとんどフェイクといっていいものであることを前提とするに、平良の仕事は、「日本画の亡霊」から離脱する潜在性を持っているのは、作品をみて明らかだ。いわゆる「南国的」なモティーフは、当初はあえて抑圧していたそうだが、近年の仕事は、南国、つまり彼女のルーツである沖縄の指標となるような要素を入れることに、さほどためらっていないようだ。このことは考えてみれば当たり前のことであり、そもそも「日本画」というネーションステートと表裏のジャンルの、その根拠となるものは、岩絵具を使っているか否かという、素朴すぎる素材主義以上でも以下でもなく、むしろ平良の作品に見られるようなローカルなモティーフ、そしてなによりも、画面中に巧みに織り込まれている視線誘導のための仕掛けこそが、大陸由来の「東洋画」の「伝統」だったはずである。元々われわれ日本人(ゆえに、今回の観客の皆様の多くは、私自身を含めて「他人事」ではないはずだ)による植民化にある沖縄において、植民者の理屈である「日本画」などという矮小な枠組みを飛び出てくる作家が出現したことは、恩寵とでも言っておくことにしよう。小難しい話はともあれ、「東洋の絵画」を観る歓びを味わってほしい。