誰かがこうであると決めたことに対し、私は作品を通して笑ってやるのです。違う見方を提示したい、鑑賞者の視野を広げたい。人は一体何をもってモノをモノとして見ているのか。作品を通じて鑑賞者それぞれの見方や認識のズレを問うていきたいです。
Through my work, I laugh at the things that someone somehow decided that it had to be seen a certain way. By offering a new perspective, I would like to expand the audience’s field of vision. How does one person perceive an object as such as it is. I want to question the gap between the audience’s vision and their understanding of the object.
石場 文子
Ayako Ishiba
1991年 兵庫生まれ
2016年 愛知県立芸術大学大学院美術研究家美術研究科博士前期課程修了
2020年 「zip_記号と静物」、Gallery PARC、京都
2019年 「次元のあいだ」、児玉画廊、東京
2018年 「たかが日々」、山下ビル、愛知
2017年 「2.5」、KUNST ARZT、京都
2015年 「しかく-Square/Sight/Blind spot-」、KUNST ARZT、京都
1991 Born in Hyogo
2016 Completed Aichi University of the Arts, Graduate School of Fine Arts Master's Course
2020 "Zip_ symbol and still life", Gallery PARC, Kyoto
2019 "Between the Dimension", Kodama Gallery, Tokyo
2018 "Takaga hibi", YAMASHITA BLDG, Aichi
2017 "2.5", KUNST ARZT, Kyoto
2015 "shikaku -Square/Sight/Blind", spot-KUNST ARZT, Kyoto
[推薦者コメント]
石場文子は、日用品の輪郭を黒色の水性ペンで縁取り、写真に撮る。そのささやかな操作によって、縁取られた被写体は平板化したように見え、画面内の遠近感を支える手がかりが失われ、私たちの視覚が捉える空間は次元が混在した不安定なものとなる。画像編集技術がイメージの真正性を揺さぶる現代において、コンストラクテッド・フォトとも異なるシンプルかつアナログな手法で行われるその視覚操作は、絵画から版画を経由して写真へと、石場が用いるメディアが変遷するなかで確立されてきた。一連の作品は、視覚芸術メディアにまつわるオリジナルと複製の概念、そして二次元と三次元の間に生じるリアリティの齟齬を浮かび上がらせ、それらの境界の曖昧さや私たちの知覚の不確かさを表出する。近作では被写体がオブジェ単体から室内風景へと広がり、画面に不在の人物像やそれらの関係性を想像させる作品へと発展している。*3331 ART FAIR 2020より/文 飯田志保子(キュレーター)