社会が作り出した「性」や「生まれ」に関する諸規範によって人々の行動・思考が決定されていく生政治に関心を持ち、ラディカル・フェミニズムが生み出した「個人的なことは政治的なこと」の実践として、主にパフォーマンスと写真を軸にして制作を行なっている。
With an interest in biopolitics—wherein people’s behavior and thinking are determined by various norms relating to social constructs of “gender” and “birth”—Terada’s work centers mainly on performance and photography as a practice of the radical feminist assertion that “the personal is political.”
寺田 健人
Kento Terada
1991年 沖縄生まれ
2021年 横浜国立大学大学院都市イノベーション学府博士課程後期入学
2019年 東京藝術大学大学院 美術研究科 先端芸術表現専攻 修士課程修了
2022年 BankART Under 35、BankART Kaiko、横浜(神奈川)
2021年 琉球の横顔 描かれた「私」からの出発、沖縄県立博物館・美術館、那覇(沖縄)
2021年 人間臭さを勝ち取るための実践、Alt_Medium、高田馬場(東京)
2020年 沖縄も私 〜つながっていることつなげること〜、茨城県立つくば美術館、筑波(茨城)
1991 Born in Okinawa
2021 PhD student at Yokohama National University
2019 Completed his M.F.A. at Tokyo University of the Arts, the Graduate School of Fine Arts, Department of Intermedia Art
2022 BankART Under 35, BankART Kaiko, Yokohama
2021 Portraits of Ryukyu:Turnover from Models to Artists, Okinawa Prefectural Museum and Art Museum, Naha, Okinawa
2021 Realizing Humanness, Alt_Medium, Takadanobaba, Tokyo
2020 Okinawa is also me - be connected and connect -, TSUKUBA Museum of Art, IBARAKI, Tsukuba, Ibaraki
推薦者
Selector
美術批評家/沖縄県立芸術大学准教授
Art critic / Associate Professor at Okinawa Prefectural University of Arts
[推薦者コメント]
写真を使用するアーティストではあるが、彼が根本的なテーマとしているのは、ジェンダーの問題である。演出された写真として提示されるものには、好悪にかかわらず内面化されてしまう社会的規範としてのジェンダーロールと、個人のジェンダーアイデンティティとの不一致がもたらす、とりわけ前者に対する根本的な疑念と、同時に、規範に対する憧れといった、アンビギュアスな心情を、あえて全面的に打ち出すことが狙われていると言っていいだろう。この点は、写真イメージだけにとどまらず、イメージのパレルゴンである額縁や附属的な展示物にも波及しており、シミュラークルとしてのイメージのみで完結するのではなく、彼の提示するテーマは現実空間にも湧出するのだ。