Artists

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湯浅 要

Kaname Yuasa

Selection-GYM(2F 体育館)Selection-GYM(2F Gymnasium)

orientationorientation

湯浅の絵画制作は、描くこととほぼ同じだけ、消すことを繰り返す。この行為の往来でかたち作られていく彼の作品には、過去から未来へと流れるような、一方向的な時間軸は存在しない。編み物のように複数の時間の糸が重なり合い、一つのイメージとして合流していく。
それは、認知症だった祖母の感覚と自分の感覚の距離を手繰り寄せ、少しでも寄り添えるようになりたいという彼の試みであったようにも思われる。
また、最近は絵画の中にある「見当識」をテーマに制作している。

Yuasa's painting process repeats erasing as much as drawing. There is no one-way timeline that flows from the past to the future in his work, which is formed by the trace of this act. Like knitting, threads of multiple times overlap and merge as one image.
It also seems to have been his attempt to draw out the interval between a sense of his grandmother with dementia and his to be as close as possible.
Recently, he has been working on the theme of "orientation" in paintings.

hino

湯浅 要

Kaname Yuasa

1994年  京都生まれ
2019年  沖縄県立芸術大学美術工芸学部絵画科油画コース卒業

2022年  書きながら忘れる、 project space hazi、愛知
2021年  やんばるアートフェスティバル、辺土名商店街、沖縄
2021年  something else、BABYBABY HAMBURGER&BOOKS、沖縄
2019年  アーティストユニット川川「木になる」、Arts Tropical、沖縄
2018年  白い目、BARRAK、沖縄

1994  Born in Kyoto
2019  Graduated from Okinawa Prefectural University of Arts, Faculty of Arts & Crafts, Painting Major

2022  draw a blank,  project space hazi, Aichi
2021  YAMBARU ART FESTIVAL, Hentona Shopping Street, Okinawa
2021  something else, BABYBABY HAMBURGER&BOOKS, Okinawa
2019  Become Trees, Arts Tropical, Okinawa
2018  White eyes, BARRAK, Okinawa

http://shiroime.studio.site

推薦者

Selector

土屋 誠一

Seiichi Tsuchiya

美術批評家/沖縄県立芸術大学准教授

Art critic / Associate Professor at Okinawa Prefectural University of Arts

[推薦者コメント]

 

 西洋近代絵画のヴォキャブラリーを踏まえ、フィギュラティヴな絵画がリヴァイヴァルした以降の絵画として、ユニークな特質を維持している。支持体の扱いもまた、結果的に近代絵画のフォーマリズムを強調している。とはいえ、彼の作品の特質は、フォーマリスティックに記述できる点のみに限るわけではなく、絵具の薄い層を描いては拭うことを繰り返すことで、多層的かつ一義的ではない絵画面が実現していることであり、選択モティーフに、彼自身の個人的な記憶に基づくイメージが使用されることにあるだろう。個人的な経験それ自体は共有できないが、経験の積み重なりのプロセス(これが絵画に実現される)は共有できるといった、センティメントと豊かさとが、彼の作品の魅力を形成している。