作家推薦者

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出原 均 / Hitoshi Dehara

兵庫県立美術館学芸員

推薦作家

   

私への依頼は、関西を中心に活躍する、東京でまだ紹介されていない「新進気鋭」の作家の推薦であった。私自身の年齢ゆえの守備範囲では、必ずしも「新進気鋭」というわけにはいかず、それならばと、作品のクオリティが十分担保される実績をある程度重視した。また、東京への一極集中の日本では、首都圏で未発表というのも難しく、首都圏で取扱画廊がないという緩やかな条件とした。作品をいくつか見、作家とも直接話をしたことがあり、互いに信頼できる作家を選んだ。数多くの作品が並ぶアート・フェアでは、可能なかぎり作品に注目されるようにしなければならない。作品の強度と独自性でアピール度の高い作家を押す必要がある。私自身は形式的な面に関心があり、とくに手法を重視する傾向にあるので、結局、その点で顕著な作家たちが揃うことになった。むろん、これは、私の好みでしかなく、作家はつねにそこからはみ出すものであり、案外そのはみだしたところに魅力があるかもしれない。

出原 均

1958年徳島県生まれ。1986年広島大学地域研究科修士課程修了。同年広島市現代美術館の準備室に入室、1989年の開館後、同館で学芸員。2007年兵庫県立美術館に移籍。企画した主な展覧会は、個展では、篠原有司男(1992年)、戸谷成雄(1995年)、菅木志雄(1997年)、柳幸典(2000年)、横尾忠則(2002年、2014年)、草間彌生(2005年)、榎忠(2011年)、舟越桂(2015年)など。それ以外では、「ヒロシマ以後」(1995年)、「表出する大地」(1997年)、「現代絵画のいま」(2012年)、「1945年±5年」(2016年)などがある。