わたしたちが他者や物質と(あるいは作者や観客と)居合わせてしまう、もしくは居合わせなくてよい「空間」の再解釈をする。空間とは、その中を歩いて回れるような形態とは限らない。親近と疎遠、言葉のきく範囲、時間とともに展開するドラマ、フィクションの隔絶と錯綜、アクションの可能性、そうしたものの織り合わせをわたしたちは通り抜け、気分や身体、認識を左右されている。そういう意味で「空間」というメディウムを扱うために、壁や心霊、漫才やカードゲームを制作する。
I reinterpret ‘space’ where we should (not) be literally contemporary with others or objects (including artists and audience); space is not only a shape where we can enter and walk around but also a field of intimacy and isolation, a sphere of linguistic power, a drama developing temporarily, a division or entanglement of fictions, and possibilities of acts. A space interweaves such things and we go through it and our mind and body get affected. In order to cope with spaces, in this meaning, I work on walls, ghosts, comedies, and games.
Illustration: Yuu Yamamoto
大岩 雄典
Euske Oiwa
1993年 埼玉生まれ
2019年 東京芸術大学大学院美術研究科修了
2022年 個展「渦中のP」、十和田市現代美術館'space'、青森
2021年 Encounters in Parallel、ANB Tokyo、東京
2020年 個展「バカンス」、トーキョーアーツアンドスペース本郷、東京
2019年 個展「スローアクター」、駒込倉庫、東京
1993 Born in Saitama
2019 MFA (Fine Art, Tokyo University of the Arts)
2022 P in case, Towada Art Center Satellite Venue 'space', Aomori(Japan)
2021 Encounters in Parallel, ANB Tokyo, Tokyo(Japan)
2020 Vacances, Tokyo Arts and Space Hongo, Tokyo(Japan)
2019 Slow Actor, Komagome SOKO, Tokyo(Japan)
推薦者
Selector
十和田市現代美術館館長
Director, Towada Art Center
[推薦者コメント]
現在、東京藝術大学大学院博士課程に在学中の若手作家である大岩は、1970年代のコンセプチュアル・アートや、同時代のライトノベルやテレビ番組などに影響を受けながら、作品や物語を成立させている条件を露わにするインスタレーションを制作している。2022年には十和田市現代美術館の街中会場で個展を開催した。この個展では、作品を成立させる条件の一つとしての観客に焦点を当て、観客が作品に意味を見出していく過程を問う作品を場所に合わせて制作した。明快なコンセプトに沿って、作品を組み立てる精緻さが可能性を感じさせる。