Curators

Artist
Selector

今井 朋
アーツ前橋 学芸員

Tomo Imai
Curator, Arts Maebashi

推薦作家

Selected Artists

   

学芸員である限り作家を推薦する機会は多い。私は果たしてこれらの作家を推薦できるほどに作品を熟知しているのだろうか。その中で、今回の作品群は私自身の生きること自体に何らかの影響を与えてくれた作家たちばかりだ。どの作家も1980年代生まれの女性作家で、大都市とは距離をおいたマージナルな場所で活動をしている(していた)。
彼女たちに共通するのは、目の前にあるモノやヒトを注意深く聴き取るという徹底的な受動的態度だ。自らを取り巻く環境や状況を観察し、見えてきた事象や動きを深呼吸するように解釈する。コトやモノやヒトがどのように関わり合っているのか、今の社会はどういう状況なのか、私たちが辿ってきた歴史は果たして事実の連なりなのか。より小さき声を集積することで立ち上がる過去があり、その声の蓄積が私たちの生きるこの社会に異なる光を照射してくれる。彼女たちの作品は、そうした声なき声を可視化するプロセスそのものが作品として成立している。

1980年前橋市生まれ。アーツ前橋学芸員。エコール・ド・ルーヴル(パリ)第一、第二課程修了。「極東のテイスト」展(2011年、フランス・ナンシー市立美術館)の企画、監修により第33回ジャポニスム学会賞受賞。2013年4月より現職。主な担当企画展に「白川昌生 ダダ、ダダ、ダ」(2014年)、「表現の森 協働としてのアート」(2016年)、「ヒツクリコ ガツクリコ 言葉の生まれる場所」(2017年、アーツ前橋・前橋文学館共同企画)、「表現の生態系 世界との関係をつくりかえる」(2019年)など。

Born in Maebashi in 1980, she completed the undergraduate and masters program at the École du Louvre in Paris. She won the 33rd Society for the Study of Japonisme Award in relation to her curation of the exhibition Un goût d’Extrême-Orient: La Collection Charles Cartier-Bresson at Musée des Beaux-Arts de Nancy (2011, France). She assumed her position as curator at Arts Maebashi in April 2013, and has curated exhibitions such as Shirakawa Yoshio dada, dada, da (2014), Forest of Expression: Art as a Communal Act (2016), Flap-flop, Clap-clop: A Place Where Words Are Born (2017, co-production with the Maebashi City Museum of Literature) and The Ecology of Expression, Remaking Our Relations with the World (2019).