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作家情報
下出 和美
1983年 石川生まれ
2008年 金沢美術工芸大学大学院美術工芸研究科絵画専攻油画コース修了
2016年 「VOCA展2016」、上野の森美術館、東京
2016年「シェルアーティストセレクション(SAS)2016」、国立新美術館、東京
2018年「硬直した庭」、芸宿、石川
草は風で揺れていて、あちらでもこちらでもない領域をつくる。
推薦者
美術評論家
[推薦者コメント]
下出和美の絵画の中央に描かれているのは、ほとんどの場合、少女です。一見すると、彼女たちは傷つきやすく、または傷つけやすい、繊細な自我で、下出は絵の中で彼女たちを防衛しているかのようです。身体の上を行き交う、いくもの色の線が、そのような傷を治癒するためのチューブのように、あるいは自らを閉じ込めるバリゲートのように見えるからです。ところが、画面の隅々にじっくり目を走らせてみると、鮮やかな色彩が見事に調和されているせいでしょうか、印象ががらりと一変するところが、おもしろい。植物から得た養分を静かに蓄え、いずれどこかでコクーンを突き破り、力強く歩き出すのではないか。表面的な弱さの向こう側を垣間見せるところに下出の絵画の真骨頂があります。